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「心に残る銀幕のスターを描き続け、半世紀以上が過ぎました」看板絵師 松尾寿夫さん

熊本県北の宝もんバックナンバー

熊本県北が誇れる、こだわりのものづくりを紹介するコーナー。観光のおみやげ話にいかがでしょう。今回は「看板絵師 松尾寿夫さん」です。

映画の時代を彩った夢と希望あふれる“一週間芸術”
看板絵師 松尾寿夫さん

熊本県玉名市で、今も現役の看板絵師を続ける松尾さん。若い頃からの画才は衰えることなく、今日も、自分の背丈より大きな看板に向かって絵筆を走らせます。工房に所狭しと置かれた看板には、懐かしいスターたちの顔。清楚なオードリー・ヘップバーンの微笑、翳りのあるジェームス・ディーンの眼差し、そして、温かさと哀愁が入り混じった寅さんの笑顔が、こちらを見つめています。

子どもの頃から絵を描くのが得意だった松尾さんは、中学2年生の時、「桜えのぐ」が主催した県小中学校写生大会に応募し、32万人の中から見事、特選を受賞しました。恩師から“芸があるんだから、就職して腕を磨け”と勧められた松尾さんは、当時玉名市にあった映画館「大洋館」に就職して看板絵師の道へ。時代は、折りしも高度成長期の昭和30年代。映画が一世を風靡した時期でした。

「玉名市築地の自宅から市街地まで、まだ舗装されていないデコボコ道を自転車で通った日々は、今も懐かしく思い出されますね」と、語る松尾さん。時には徒歩で、片道1時間もかけて通勤した日もあったそうです。俳優の名前も読めないわずか15才の少年がいきなり大人の世界に放り込まれ、右も左もわからないまま師匠に付いて、絵の具溶きから始まった看板絵師の修業ですが、つらい事以上に、時代の空気をダイレクトに浴びているという実感に満ち、毎日が楽しかったと松尾さんは当時を振り返ります。

看板絵師 松尾寿夫さん看板 カラー松尾

「裕次郎が登場した時のことは、今もハッキリ憶えています。あの頃は駐輪場がいっぱいになるほど大勢の人が映画館に押しかけて、玉名の街も活気に溢れていました」。松尾さんは次第に腕を上げ、映画の上映中に表に掛ける予告看板や招き看板を描き続けました。最大で18メートルもの長さの看板に、バランスをくずさず本物そっくりのスターの姿を描く技は、今も健在。それは、全身どっぷりと映画の世界に浸かり、銀幕のヒーローたちの姿を夢中になって追い続けた青春の日々の賜物です。「看板は、映画の興行が終わると消えてしまう運命。だから、一週間芸術と呼ばれていたんですよ」。

看板 カラー松尾

やがて上京し、映画看板の製作会社で7年の修業を積み、プロの道を究めた松尾さんは、1965年に帰郷して広告看板業を開業しますが、映画看板への夢を捨てきれませんでした。そんな松尾さんに、2001年の「県民文化祭in荒尾」で映画看板の依頼が届き、44年ぶりに巨大な看板を描きあげました。それ以来、古き良き時代を懐かしむファンの要望に応えて、様々なイベントで活躍する松尾さん。今も、温かみのある独特な手描きのタッチに惹かれて、会場を訪れる人が後を絶ちません。

映画の主人公に感情移入しながら、その世界に入り込んで描くアナログな映画看板は、昭和の空気をまとった味わい深いサブカルチャー。パソコンが普及し、何でも実物そっくりに印刷できる時代だからこそ、守り続けてほしい熟練の技です。

看板 カラー松尾では、一般の方からの映画看板の注文も受け付けています。玉名観光のついでに松尾さんの工房を訪ねれば、きっと忘れがたい思い出になることでしょう。

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お問い合わせ
看板 カラー松尾
〒865-0065 熊本県玉名市築地837-1 TEL:0968-74-3314

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