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織り姫伝承塾 古閑直子さん

熊本県北の宝もん バックナンバー

熊本県北が誇れる、こだわりのものづくりや人物を紹介するコーナーです。

明治から昭和初期にかけて養蚕(ようさん)景気にわいた熊本県。なかでも山鹿市は、かつて蚕(カイコ)を飼ってその繭から絹織物の材料となる生糸(絹糸)を作る養蚕業のさかんな地域で、旧豊前街道沿いには呉服の大店(おおだな)も軒を連ねていました。しかし、昭和10年代から海外への輸出が低迷し、国内でも、和服文化の衰退や代替品の普及などによって、養蚕業は徐々に産業の表舞台から姿を消してゆきました。

「蚕は年に4回繭を作り、季節ごとに春蚕(はるこ)、夏蚕(なつこ)…と呼ばれます。私の小さい頃はこのあたりの農家でも蚕を飼うところが多くて、どこからともなく機(はた)を織る音が聞こえてきたもんですよ」と、語るのは、「織り姫伝承塾」を主催する古閑直子さん。
大量生産、大量消費が当たり前になるわずか60年くらい前まで、暮らしの中には、手作りの温もりと物を大切にする心がありました。テレビもエアコンもなかった時代、畑仕事を終えた農家のお母さんたちは、売り物にならないくず繭で糸を紡ぎ、さまざまな物を家族のために手作りしていたそうです。そんな古き良き時代の心を蘇らせたいと、古閑さんは、今から10年ほど前、くず繭から糸をひき、機織りの工程を再現。山鹿にわずか4、5軒しか残っていない養蚕農家と手を取り合い、失われかけていた機織りの技術を受け継いでくれる人を募って、「織り姫伝承塾」を始めました。「生活に使う物から花嫁衣裳まで、小さな裸電球の下で、夜なべして機を織っていたお母さんたちの“思いの美しさ”に打たれたんです」。

東京でカメラマンをしていた古閑さん。山鹿に帰り、故郷に残る素晴らしい伝統工芸の現場を見て回りました。その時の感動が、地域の宝を受け継ぎ、守ってゆきたいという思いにつながったのです。「山鹿は人材の宝庫。職人さんや農家の方、機を織るおばあちゃん…都会では探しても見つからないような人がたくさんいらっしゃいます。私は職人さんには及びませんが、少しだけ皆さんに近づき、手仕事をする時の、なんともいえない安らぎと充実感をおすそ分けしてもらってるんです」。古閑さんは、雨漏りのひどかった八千代座を「瓦一枚運動」によって生き返らせた老人会の意思を継ぎ、坂東玉三郎を招ぶなどして、八千代座復興に携わった立役者の一人でもあります。

繭からとった真っ白な真綿は、窓から差し込む光を浴びて雪のようにキラキラと光っています。「あなたたちは綺麗ねぇと、いつも話しかけるんですよ。繭1個分は、1200から1400mの1本の糸でできているんです。すごいでしょう!」と、目を輝かせる古閑さん。「膝の上に置いてみて。ふんわり軽くてポカポカ温かいから」。なるほど、綿菓子よりも軽い真綿は、体に溶け込むようなほのかな温かみを放っています。

  • 真綿入りの『おやすみマスク』(大)1,200円、(小)800円。汚れたら洗顔石鹸でやさしく手洗いすれば繰り返し使える。

真綿の持つたぐいまれな保温力と通気性を活かして、古閑さんが最近手がけているヒット作が、『おやすみマスク』。大人用には繭2個分、子ども用には1個分がたっぷり使われていて、着けているのを忘れる軽さで眠る時のノドの保護に最適です。「他では味わえない真綿の気持ちよさを気軽に体験してほしくてね」。喉や気管支の持病を持っている人に好評で「“どんなマスクを使っても良くならなかった咳が止まった”と言われた時は、作ってよかった〜、と思いました。でも、これは私の手柄じゃなくて、蚕さんがえらいだけなんだけど(笑)」。

古閑さんの『おやすみマスク』は、山鹿市の豊前街道沿いの古民家ギャラリー『百花堂』と熊本市内の熊本日赤病院売店で買うことができます。

お問い合わせ
古民家ギャラリー「百花堂」
〒861-0501 熊本県山鹿市山鹿1371 電話:080-6426-4519

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